共催:法政大学平和の文化研究会
2013年12月20日(金) 午後6:30~午後8:00
講師:真下 一策(ましも・いっさく)さん
「子どもたちの見る力が低下している。子どもたちの眼を本来の姿に返し、スポーツを盛んにするにはどうしたらいいのか?」――広島カープ、サッカー旧東洋工業などのチームドクターを歴任、「スポーツと眼」の研究を続けるスポーツビジョン研究会代表の真下さんに、子どもたちの生活環境などについて語っていただきました。
会場:法政大学市ヶ谷キャンパス80年館(図書館棟)7階
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教師が配る用紙を受け取れなかったり、よけることができずに顔にぶつけてしまう子どもが、非常に多くなっている。子どもたちの動体視力、視力の距離感が極端に弱くなっている。瞬間視力だけは発達しており、画面が小さく奥行きのないコンピューターゲームの影響が出ていると思われる――真下さんは、子どもたちの将来を強く憂慮されました。
また、 自分の視力が運転免許条件の0.7あるからと過信してはいけない。時速100㌔以上のスピードでは、「視力0.3」で運転するのと同じくらいになる――と「見る力」が日常生活でもいかに大切かを、わかりやすい事例で説明されました。
「スポーツビジョン」は、スポーツに関連した視覚や視覚器(眼)を研究するカテゴリーで、約40年前にアメリカで誕生した。近づいてきたり、目の前を左右に移動する目標を見る動体視力や距離の差を感じる深視力、一瞬で対象を捉える瞬間視、眼で捉えて手で反応する「眼と手の協応動作」など、8項目が中心になるという。
「見ること」は、脳障害や身体の衰えた高齢者のリハビリにも応用されており、子どものうちから視力のトレーニングを積めば、頭脳への影響も大きい。コンピューターゲームは、やるなら時間を決めてやり、できる限り外で遊ぶことを習慣にしよう――真下さんは、柔らかい語り口ながら強く訴えておられました。