私たちの組織の設立趣旨
設立趣意書
2012年4月
平和の文化東京ユネスコクラブ
発起人会
平和の文化東京ユネスコクラブは、ユネスコ憲章の理念と日本の民間ユネスコ運動の初心を基軸として、以下の趣旨で発足する。
「心の中に平和の砦を」と詠ったユネスコ憲章の平和の理念は不変の理想であるが、戦後60余年を経た現在、「平和」の概念は歴史的・客観的に大きく変化してきている。この点を踏まえて、我々は改めていまこの時点で、21世紀のユネスコの平和運動は如何にあるべきかを探求したい。
第二次世界大戦直後の「戦争のない世界」への希求は、1990年代、冷戦構造の終焉に伴って大きく変化し、「UNESCOの平和の文化の宣言」、「国連の平和の文化と非暴力の10年」を経て今日に至った。しかしながらこの「国際10年」の検証はUNESCOや国連においてもまだ充分には論議されていない。
「平和の文化」という概念は、その的確な内容を充分には説明しにくく、「平和と文化」「平和、文化」などと混同するきらいがある。「平和の文化」の対語は「暴力の文化」であろう。最大の暴力は戦争であるが、それ以外にも、差別、格差、人権抑圧、環境、エネルギー問題など、現代社会には多くの構造的暴力がなお顕在している。これらの暴力を肯定ないしは是認・黙認するのが暴力の文化であり、これに反対ないしは否定するのが平和の文化である。「国連の10年」で「あらゆる暴力に反対する平和と非暴力の教育」といっているのは、このような「構造的暴力」という考え方が広く認知されてきた状況を踏まえてのことであった。国連および国際関係の論議などでも、所詮は問題を力で解決するのか、話し合いで解決するのかという大きな二極対立が現状であろう。UNESCOはもちろん後者の立場に立つ国際機関だが、前者の立場に立つ機関も多々見られる。私たちの身近な社会でも同様であろう。
一方、日本ユネスコ協会連盟では、2011年4月に、新公益社団法人として認可され新しいスタートを切った。60余年前の民間ユネスコ運動のスタートの時代に色濃かった戦争体験から発想された運動は今日に至るまでに徐々に風化し、差別、格差、人権抑圧などの構造的暴力、環境問題や気候変動による全人類的な危機の意識が強く実感されているものの、未だ明確な運動指針とはなりえていない。
民間ユネスコ運動は、今なにを探求し何を発信すべきなのだろうか。時あたかも、日本は未曾有の東日本大震災と原発を含めたエネルギー問題に直面した。この天災・人災を正面から受け止めて、現地の被災ユ協とも協力して、日本の民間ユネスコ運動のあり方を問うのも一つの契機であろう。
日本ユネスコ協会連盟では、2010年の全国大会(奈良)に於いて「核兵器のない世界へ向けての宣言」を発表した。この宣言の具体的な実践活動はこれからという段階である。
全世界的に大きな構造変動が予見されるいま、我々は民間ユネスコ運動の内外において、今日的な意味での「平和の文化」を正面に据えた論議を踏まえつつ、あるべき平和の実現に向けてささやかながらも可能な限りでの実践をすすめていきたい。
討論の場の常設と活発化、内外への公開はユネスコ運動全体の課題であろう。全国270余のユネスコ協会・クラブは、いま新しい活動のテーマ、スタイル、内容を探求している。一方で高齢化に直面して、組織の活性化を求めている。当クラブの活動は地域性を持たせず、広い視野から世界と日本を展望し、同時に各地ユネスコ協会・クラブの活動からも謙虚に学びつつ、自らも研鑽し、論議を深めて、個別のユネスコ協会・クラブでは取り組みにくいテーマや内容に挑戦したい。また、近隣諸国のユネスコ運動ともこの立場で協力・協同して行きたい。我々は、上記のような世界的な課題を含めた様々なテーマを、なるべく身近な問題・地域の問題と関連させつつ取組み、一市民の感覚で活動して行きたい。
われわれは、このような内容で、東京において、このクラブを立ち上げることとした。講演会、サロン、勉強会などの場を通じて、新しい運動を模索し、経験を創りあげ、それらについて、国内外で交流することが出来れば幸いと考えている。
以上
UNESCO(ユネスコ)について
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UNESCO憲章
公益社団法人・日本ユネスコ協会連盟
ユネスコの活動、運動を民間の立場から支援しようというNGOです。私どもの「平和の文化東京ユネスコクラブ」も含め、全国の約270の「クラブ」「協会」「NPO」が加盟しています。
